breath
樹さんは絶対、私の所に戻ってくる

だって私を【婚約者】って、自分と藤崎さんが所属する部署の人に紹介したんだよ。藤崎さんがどうあがいても無理だと思っている。

思いたい

元カノよりも婚約者の方が立場が上のはず

私はそんな事ばかりを考え、自分の今いるポジションに縋るしかできなかった


それから、毎日会社帰り私はコーヒーショップに立ち寄るのが日課となる

理由は一瞬でも樹さんの姿を見たいから

受付にいた時は見る事は容易いかったが、今の私がいる専務室は隔離されていて見る事はできなかった

見える日もあるし、見えない日もある

でも見えた日は、わずかな時間、樹さんと話す事ができた。

たわいのない話を

でも彼の口からは、藤崎さんと話した事や婚約の先の話は全く出てこなかった

そんな行動を2週間ほどした、12月のある日、樹さんのお母様から私のスマホに直接電話があった。

ちなみにこの2週間、樹さんからの電話は1本もない
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