breath
「あっ、ありがとうございます」

「明日美の返事は?」

不安そう?

でも真剣な眼差しで、私を見つめながら聞く樹さん

私は出し惜しみをしているわけではなく、この瞬間、ドキドキしている私の鼓動を制御しているだけで精一杯で、言葉を続ける事ができないだけ

「フーッ」

軽く深呼吸をする

樹さん……私の答えは一つしかないんだよ……

わからないの?

私は知り合ってから、彼のマンションに住み始めてから、ずっと貴方に釘ずけなのに

伝わっていないの?

ーーーーなんて不安に駆られている自分がいる

贅沢な悩みだ

私は

「ずっと、樹さんの側に居させて下さい」

と言い、ペコッと頭を下げる

そんな私の姿を見て、ホッと安心した表情をする樹さん

藤崎さんの事があったから、彼自身も不安だったのかもしれない

もし不安だったら、私の事を思っていてくれた……そう思うだけで幸せに思う私

樹さんの中の藤崎さんを追い出したいと思っている
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