breath
実家に帰りたくないのも本心

樹さんと一緒にいたいのも本心

嘘偽りはなかった

私の素直な気持ち……

樹さんは驚いた顔をしていたけど、彼の気持ちも私と一緒だと思う

少しはにかんだ笑顔をして

「じゃあ、帰ろうか。でも実家には連絡するんだよ」

って言い、繋いでいる手の力を強めた

私達に絆は強いはず

だって私達は結婚するんだもん


樹さんのマンションのエントランスに到着したけど、今日は藤崎さんの姿はなかった

ホッと胸をなでおろす

このエントランスを見ると、藤崎さんを思い出す私

きっとトラウマになっているのだろう

樹さんが藤崎さんとの縁が切れたのなら、私は以前のようにこのマンションに戻ってくることができる

この藤崎さんに感じるモヤモヤ感、嫌悪感が払拭しなければ、このマンションに戻ることはできないのだろうか?

今の私は幸せの絶頂にいるわけで、こんな不安……簡単に払拭できるとその時は思った
< 226 / 657 >

この作品をシェア

pagetop