breath
私の抱えている不安とは裏腹に、部屋の玄関に入り靴を脱いだ瞬間、樹さんは私の身体を抱きしめ、強引に唇を奪う

今まで溜まっていた私の感情がそれに応じてしまい、私も彼を求めてしまう

彼の舌が私の唇をこじ開け、勢いよく侵入してくる

私は樹さんが……私に入ってきてくれることに喜びを感じる

「ーーーうっ………ん………」

吐息とともに声が漏れ、久しぶりの快楽を味合う

久しぶりだからか?

違う……私がもっと、もっと樹さんを求めている

早く貴方のものになりたい……

早く……

そんな気持ちが、私を煽る

私の全ては樹さんのもの

もちろん樹さんも……私のもの……?

私は彼から確証が欲しかった

本物の愛が欲しかった

それぐらい私は彼を私だけの物にしたい

私の内面から湧き出すオンナの本性……

私はこんなにオンナだったんだ……っていう事を、今知る

彼にプロポーズをされたのは私だから、私だけが許される特別な存在になった

藤崎さんに勝ったと思った瞬間だった
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