breath
たぶん……私がいない間、藤崎さんはこの部屋に踏み込んでいない

オンナの勘がそう言っている

本当は彼の口から説明を聞きたいけど、今の私は話を聞くより、彼に抱かれたい……

そして、樹さんが私の虜になるよう、離れられないよう心だけでなく身体でも繋ぎとめておきたい

彼の中の藤崎さんを消し去るため、私は必死だった


寝室に入り、私は貪るように彼の唇を求める

私から求めるのは初めてだった

そんな積極的な私を見て樹さんはニヤッて口角を上げる

「いつもと明日美違うね……」

耳元で囁き、その唇が……舌が……私の首筋を焦らすように刺激する

彼の慣れている手が、私を包んでいる衣類を剥ぎ取るように脱がす

久しぶりに彼の前で露わになる、私の裸体

「明日美はここが弱いよね……」

と言いながら、私の乳首に軽く歯を立てる

「ーーーーあっ………」

軽く痛みを感じるも、その刺激が心地良い

私の反応を見る樹さんの視線が鋭く感じる
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