breath
「私、今日も一緒にいたい……」

甘えるように言ってみると、そんな私を見てクスッと笑う

「明日美、俺も同じ気持ちだよ。でも、結婚したら嫌って言うほど一緒にいるんだから、今日は我慢して」

あーあ、私の望み?我儘は聞いてくれないんだ……と思うと、シュンとしてしまう

樹さんはポンポンと私の頭を軽く叩き

「明日美のご両親には、前回の事もあるからキチンとケジメをつけたいんだ。だから、今日は我慢して」

申し訳なさげに言う樹さんを見てしまうと、私はもうこれ以上言えなかった

樹さんは私の事を思って言ってくれているのだし、困らせてもいけないよね……私は自分に言い聞かせながら、平気を装った

今日は久しぶりに2人で出勤

同居した次の日以来振り

秘書課になって30分、出勤時間が遅くなったから

一緒に住みだしたら、こんな生活になるのかな……なんて思うとワクワクしてしまう

その時の2人の姿を、藤崎さんに見られていたなんて……その時の私は全然気づいてもいなかった
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