breath
父の胸で子供のように泣きじゃくる私

どうする事もできず、泣くしか方法が浮かばない

今日の出来事は、それぐらい衝撃があり、今まで24年生きてきたけど、今日という日が人生の中で一番不幸な日に思えた

母はこんな私を見て、困惑した表情をしながら何処かに電話をしている

たぶん……樹さんのお母様にだろう

電話が終わると、父の耳元で何かを囁くと

父は私の頭を撫でだした

「明日美……辛かっただろう。もう結婚なんかしなくていい。ずっと家にいればいいから」

私を抱きしめながら言う父

私は20年ぶりに父に抱きしめられる

樹さんとは違う匂いがした

私は……永遠に樹さんに抱きしめられる事もないのだろう

数時間前までは、樹さんに抱きしめられたのに……

そう思ってしまうと、心が苦しくなり、泣き止む理由がなくなり続けるしかなかった

私のガラスの心は粉々に壊されて粉々になっていた
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