breath
もう何時間泣き続けただろう?

さすがに私も疲れ果てて、父の胸の中でスヤスヤ眠りについてしまう


私が目を覚ましたのは次の日の朝だった

泣きすぎて目が腫れているのが鏡を見なくてもわかる

あっ……今日は……樹さんのお祖父様でもある会長宅にご挨拶をしに行く日だった

『こんな顔じゃ、さすがに行けないな……』

どうやって断ろうって頭の中で言い訳をグルグル考える

ーーーでも思い浮かばない……

頭に思い浮かぶのは、樹さんの顔

ほんの1日前には彼の腕の中にいたのに

今は……

私は自分の惨めさに吐き気が出る

そして涙も……

私はまた、泣くしかなかった

「うっ、うっうっ……」

シーンとした部屋に響き渡る私の声

私は……絶望の暗闇の中に一人取り残された気分だ

ココからどう出ていったらいいのか、方法が見つからない

コンコン

ドアをノックをし、お母さんが心配そうに部屋に入ってくる
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