breath
「医師からは可能であれば環境を変えたら……と言われています。ここだけの話ですが、4月から私は子会社の社長になり、望月さんもそこに連れて行くつもりにしています。環境も変わりますし、私が責任を持って彼女を守ります」

真剣な表情で父に語る専務に対して

「ーーーそうですか……わかりました。その件はお任せいたします」

父は専務に頭を下げた

家族の中で父は一番の私の理解者

今回も私が退職したくない意思をくんでくれている。本当に父には感謝だ


「それより、あれから高宮家から連絡はありましたか?」

専務は話を変えた。

父は首を横に振る

「私なりに樹の居場所を調べてみたのですが、わかりませんでした。たぶん……高宮常務が故意に隠しているとしか思えません。私の力不足です。申し訳ございません」

専務は頭を下げる

「専務は悪くありません……頭を上げて下さい」

父が恐縮し、専務の頭を下げるのを止めさせる
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