breath
「もしよろしければ、望月さんの病気の件を高宮常務に私から伝えても良いですか?」

専務は私の事を気遣い申し出ててくれているのが痛いほどわかる

父にもそれは伝わったようで

「お心使いありがとうございます。しかし、専務にはそこまではさせれません。この件は私の方から高宮家に連絡いたします。娘をここまで追い詰めた件の報告もまだ受けていませんから、しかるべき対応をいたします」

父は冷静に断り、専務はその後帰って行った


専務を見送った後、私は両親に

「ごめんなさい。こんな病気になってしまい迷惑ばかりかけてごめんなさい」

と泣きながら謝った

その姿を見た両親は

「明日美は悪くない」

と口を揃えて言う。

でも2人は決して樹さんの名前は口にしない

理由はわからないけど、私が動揺するから?

ただ、父が一言

「樹さんとの婚約の後の事は、任せてほしい」

と私に告げた。

その時は、言葉通りに私は受け止めていたが、その本当の意味を知るのは、それから何年も経ってからなんて、その時は知る由もなかった
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