breath
動揺がなかったとはいえない

でも私は二年前、退職を選ばなかった私はこのような事態が起こる可能性は理解していた

あの時父はこの事態を避ける為に退職を勧めたにも関わらず、私は拒否

自業自得か……

あの時は婚約者の樹さんを失い、仕事まで失っていたら、私は生きる術がなくなって完全に壊れていたかもしれない

今の私には、もう仕事しか残されていない……

過去のしがらみを振り切って、何とかこの事態を切り抜けなければ……そう思うしかなかった




昼休み

社長は営業とランチミーティング

今の社長のスケジュールは分刻みで、毎日昼食の時もミーティングをしているほど多忙だ

内線電話が鳴り、応対をする

相手は人事部長。社長は席を外している旨を伝えると、来週から異動してくる人が挨拶したいので、社長室で待たしておいてくれとのこと

胸がトクンと鳴る

もしかして……

でも、これは仕事……拒否することはできない

「了解しました」と返事をし電話切った
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