breath
二年前は心地良い思っていたこの場所

あの日までは私のものだった

ーーーでも今は……?

私はハッと我に戻り

「冗談はやめて下さい」

と言い、彼を押し返す

今、樹さんがどんな表情をしているかはわからないし、見る勇気もない

私はお茶を入れに行こうと、ドアに向うと

カチャっとドアが開き、社長が戻ってきた

私の様子がおかしいのを咄嗟に気づき、部屋の中を見る

「ーーー樹……」

彼の姿が目に入った社長は何が起こったのかわかったようで、軽く私の肩を抱く

「明日美……大丈夫か?」

心配する声が頭から降ってくる

「ーーー大丈夫……です」

こんな私の動揺で、社長の貴重な時間を奪ってはいけない

私は社長から離れた

ふと樹さんの方を見ると、目を丸くして私達を見ている

寂しそうな……怒っているような……そんな表情で

でも、なぜ私を捨てた貴方がそんな表情で見るのか理由がわからなかった
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