breath
その日、樹さんは私の部屋に泊まった

どうしても、この二年間にできてしまった二人の溝を少しでも埋めたかったとか

でも同じ部屋、同じベッドに眠ることはなく、空いている部屋で一人で眠る

彼は私を抱きしめることはするけど、それ以上の事は決してしない

キスも唇ではなく、おでこにするだけ

「明日美の気持ちが追いつくまで待つよ」

彼はそう言い、コワレモノを触るように軽く私を抱きしめる……

樹さんが私を復縁を求めたのは、私に負い目があるから?

そんな不安が私を襲う

別々の部屋に眠る私達

緊張が高ぶっているのか、全然眠れない

頭の中でモンモンといろんな事を考えてしまう

ーーーけど、何も解決しない

私は夜中、起き上がり隣の部屋に行く

スースー寝息を立てて眠っている樹さんの寝顔を眺める私

この二年間、何度、私の夢の中に出てきたのだろう?

会いたくて

会いてくて

ずっと貴方の事を想っていた
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