breath
貴方と一緒に過ごした空間が懐かしくて……

戻りたくて……

どうしようもできないのに、ただ足掻いていた

ーーー結果、病気になってしまった、情けない私

「樹さん……」

声にもならない小さな声で呟く

眠っている彼の耳には届かないと思っていたのに………

彼の目がそっと開き

視線が重なる

私の顔はすごく熱い……きっと真っ赤になっているはずだ

「寝れなかったの?」

クスッと笑いながら、いつもの優しい笑みをする樹さん

コクンと頷く私

樹さんは起き上がり、私の頭を引き寄せ彼の胸に当てる

私の胸がドキッて大きく高鳴る

「実は俺も……」

「えっ……」

「明日美がこの部屋に入ってきたから、寝たフリをした」

樹さんでもそんな事をするんだ……って思っっていたら、私から笑みが漏れた

「やっと笑ってくれた……」

頭の上から降ってくる声

「えっ?」

上を向くと、優しく見守る樹さんの顔

瞳の奥が揺れていた


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