breath

「そんなことわかっているよ。だからずっとそばにいるつもりでいるけど」
樹さんの言葉を聞き社長の表情が一瞬曇る
「樹、何を言っているんだ？俺はさっき覚悟をしろと言った。つもりだったっら明日美に近づくな。考えているんだ以上に明日美の闇は深い。お前は明日美の苦しんでいる姿は見ていないから軽々しく言えるんだ」
「言っている事はわかりました。ここからは俺と明日美の問題です。二人にしてもらえませんか？」
「お前は何もわかっていない。その言葉は俺にじゃなくて明日美に向ける言葉じゃないのか？」
「匠さんに俺達の事にとやかく言われる筋合いはありません。取りあえず二人にして下さい」
早口で言う樹さん。冷静さを失っている？ようにも見える
「樹、それがダメなんだ。お前の気持ちじゃない。明日美を一番に考えてやれ！」
「匠さんのアドバイスはわかりました。ここは二人にして下さい。明日美いいだろう？」
えっ、決定権は私ですか？でも、社長と二人になるという選択権は元々私には無く今の樹さんと二人っきり、流石にキツイ
ここで返事はしなければいけないのは必須
「症状は治まったので大丈夫です。本当にご迷惑をおかけして申し訳ございません」
ペコリと頭を下げ、業務上の態度を取る。そんな私の様子を見て樹さんは私の腕を掴み「話がしたい」と強引に迫る
樹さんがこんな風に強引に来ると抵抗できないけど、さすがに二人っきりはまた発作が出るかもしれない
「ごめんなさい。体調が優れないのでゆっくりさせて下さい」
と断ると、私の腕を掴んだ樹さんの手が自然と離れる
「明日美」
すごく寂しそうに樹さんが私を呼ぶけど私は答えることはしなかった