breath

次の日の朝
私は普通に目覚める
昨日の夜は泣き疲れて樹さんの胸の中で眠ったようだ
目が覚めるといつも通りの寝室の白い天井
でも、いつもと違うのは私の傍らに心配そうに樹さんが私を覗き混んでいること

視線が合う
「おはようございます｣
｢おはよう｣
ニコッて笑いながら応えてくれるけど、寝ていないのか疲労感が伝わってくる
｢大丈夫？｣
｢大丈夫です。本当にご迷惑をおかけして申し訳ございません｣
咄嗟に口から出た言葉は他人行儀なもので、その言葉を耳にした樹さんの表情が落胆したのは鈍感な私でもわかる
時計を見ると午前5時を過ぎたところ
今日も仕事なのに、申し訳なく思ってしまう
｢仕事前なので一度10階に戻って下さい｣
相変わらず他人行儀な私に対して樹さんは
｢今日は仕事を休み明日美と一緒にいる」
｢今日、私仕事です｣
｢匠さんには休むと言ってある。今日は二人でゆっくりしよう｣
突然のことで言葉に詰まる
私に気を使っている？
それとも昨日、私が衝動的に･･･考えてしまったから？
｢ごめんなさい。昨日の事が原因だったら。あの時はただ思いつめていただけで。今は大丈夫ですから仕事に行って下さい｣
｢今日は引越しの日だから｣
｢引越し？｣
話の展開がわからずキョトンとする私に
｢俺、今日からここに住む｣
えっ、えっ、えぇ---