breath
おかしいとは思うけど急ぎの仕事ではないため改めようと思い部屋を出る
エレベーターを降りた時変な視線を感じたので階段で社長室のある12階に戻れば良いのだけれど季節の変わり目なのか体調が悪い
少し貧血気味なので10階を階段で上がると倒れそうな気がするので止めた
2階から10階に上がるのなんて数分の事
それさえ、我慢すれば、エレベーターに乗り込むとそこには人事部長と岸田先生がいる
車の事故以来だから3日振
私は軽く会釈をして乗り込むと岸田先生が
「打ち合わせが終わりましたら社長室に伺います」
と他の社員に聞かれないように、私の耳元で囁いた
私は事故の事の報告だと思っていた
これで車が修理できる
少し心の荷が下ろせる気がしてホッとした

それから1時間後に岸田先生となぜか人事部長が来て部屋に入るなりセンサーを出し部屋中を調べ出した

何が起こっているのかわからず呆然と見守る私
すべての調査が終わったのか岸田先生と人事部長の動きが止まりソファーに座る
「お茶を入れて来ます」
「いらないから座って下さい」
と言う人事部長
私、何かやらかしましたか?
不吉な予感がし、心臓が強く波打つ
「機密事項が漏れている」
部長が溜息をつきながら口を開く
もしかして私疑われています?何もやっていませんが
「望月さん今、社長はどこに何をしに行っているか知っているか?」
「中国に出張に行かれていますが内容は存じておりません」
「社長は秘書である望月さんにも話していないか」
部長は何が言いたいのだろう?
これで身の潔白を証明できただろうか?
胸がドキドキして胃が痛い
「社長がこの会社を売却するために中国に行っているという噂が会社中で回っている」
部長は冷たい口調でそう言った
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