breath
私の顔は、高宮主任の胸に埋められる
彼の両腕が私に巻きついている
「大丈夫だから」
彼はそう言いながら、私の頭を撫でてくれる
まるで、子供を癒すように

どれぐらい時間が経ったのだろう?涙が枯れてきた時、母親が心配そうに部屋に入って来る
私に巻きついていた腕が離れ、高宮主任は母の方に向かう
名刺を渡す主任。母は嬉しそうに笑顔で話している
イケメンだから?
娘の一大事なのに、イケメンにうつつを抜かす母

話に一段落ついたのだろう。母がこちらに向かってきた
「大丈夫?」
「大丈夫じゃないわよ。見たらわかるでしょう?」
「こんな口きけるんだったら大丈夫ね」
って笑いながら母が言う。
高宮主任は、そんな親子の会話を見ながら安心したみたい
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