breath
「今日は何もしないっていう約束じゃ・・・」
「いつまで禁欲生活をしたらいい?これからは毎日会えないのに」
狡い
私が断れないのをわかって
顔をじっと見つめると瞳の奥が揺れていた
今にも泣きそうな
でも私を愛おしく思ってくれている表情
私が彼を追い詰めている
彼の頭を抱きしめ自分の胸に押し当てる
いつもは彼にしてもらっている事を今日は私
返事は?
樹の事だ
してもしなくても結果は同じ
病気が治るまでとずっと引き延ばしていたから、そろそろ観念?違う、私も自分の気持ちに正直にならなければいけない
今度こそ、きっと上手くいくはず
「いいよ」
小さな声で答えると、彼は顔を上げ嬉しそうに笑いキスをする
最近は触れるだけねのキスだったのに、今まで我慢していた思いが炸裂しているような激しいもの
「うっん・・・」
遠慮することはないので身体が感じるままに声を出す
キスだけでも気持ち良いって思うのは久しぶりだから?
それとも病気が良くなったから?
この部屋の照明がやや暗めでやりたくなる空気を醸し出す
私は久しぶりの樹を受け止めようとするが
ご無沙汰だったせいか激しすぎて
病み上がりの私にとってはハードルが高そうだ
樹も貯まった自分の欲望を痩せた私の身体にぶつけてくる
興奮しているせいか力加減ができないようで、私の身体はいつか悲鳴をあげるのではないかと思うぐらい危険信号が鳴っている
「痛い」
さすがに我慢できなくて、言葉で訴えるけど樹の耳には届かない
彼の舌が
指が
私の全身を味わい堪能
久しぶりに味わう快楽に私の頭の中は真っ白になった
私は女性で愛されるために生まれてきたんだ
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