breath
お昼に社長とランチへ
今日、社長にお礼を言ってケジメをつけて前に進む。そう決めて覚悟を決めてこの地に来た
「待たせたね」
社長がやって来た
社長の姿を見ると落ち着く
この2年間ずっと私の傍らにいて支えてくれた
2ケ月振りに会った社長は少し痩せたような気がする
私は口角を上げ笑おうとしたけど、涙の方が勝ってしまい泣き崩れてしまう
社長はそんな私の身体を支えて助手席に座らし自分は運転席に乗り込んだ

車に乗り込むとまた懐かしい匂い。ますます涙が止まらない
社長は静かに見守る
私の涙が途切れた時
「食事に行けそう?」
私に気遣う言葉。さすがに食欲がわかず首を横に振るだけで精一杯
「話を聞こう。原因は樹?」
私はコクンと頷く
「だから俺にしとけばいいのに」
聞こえるかどうかわからないくらいの小さな声で呟く
社長に促されるように車を降りエレベーターで10階へ
久しぶりに入る社長の部屋
何も変わらない
リビングに入ると、相変わらず綺麗に片付けられている部屋を見てさっきの樹の部屋の惨状と比べてしまう
社長はコーヒーの準備を始める
コーヒーを持って来てくれ、口に含む
おいしい
「ブルーマウンテン?」
ニコッて笑って答え、前の席に座る
「ずっと放っておいて申し訳ない」
頭を下げる社長
「意味がわかりません」
「樹や高宮社長に釘を刺されていて」
「釘?」
「うちの嫁に手を出すなって」
嫁?
結婚していません
私が唖然としていると社長は大笑い
「そんな反応をするだろう?」
社長が何を言いたいのかわからない
「俺に取られると思って父親に頼んだようだ」
私の知らないところでそんなことをやっていたなんて。ある意味幻滅です
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