breath
それからしばらくして遠くから「明日美」と呼ぶ大きな声が聞こえる
その声の主はこちらに向かって小走りに走って来る
同期で親友の亜美
泣きながら私を抱きしめる
「一体何処に行っていたのよ」
また美奈子先輩と同じ事を
なぜ皆私が子会社に異動したのを知らないのだろう?
もしかして知らないのではなくて知ることができない?
一般社員なら簡単にわかることも一般社員じゃない人は伏せられているっていう事がある
美奈子先輩は樹の同期で彼氏の早坂さんは樹と仲が良い
その彼女である先輩は樹のが海外に行っていたこともしらないし今の消息も知らない
特命だから告知しないのは仕方ないけど
樹はくっきり線を引いている
ということはわかった
色々理由はあるけど謝るしかできない
「心配かけてごめんなさい」 
「今日は飲みに行くから。そこでじっくり事情を聞くわ」
美奈子先輩の命令
嫌な予感がします

部署に戻り異動の回覧を見ると加藤社長の名前があり2年前と同じ専務に
社長と秘書の関係ではなく私はただの一般社員
もう会うこともないだろう
寂しいような、内心ホッとしている
それよりも私の与えられた仕事を覚えるほうがたいへん

慣れない仕事を引き継ぎながら緊張していたこともあり就業時間が終わった頃にはヘロヘロ状態
本当は飲みに行かず帰宅したかったけど、美奈子先輩の目がそうはさせてくれないくらい怖い
美奈子先輩に近くの居酒屋に連れて行かれる
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