breath

｢何かあったとは思っていたけどここまで酷いなんて。自殺してもおかしくなかったんだよ。望月がそこまで不幸になる必要もない！それに高宮も専務も中途半端。私から見たらお互いおもちゃの取り合いをしているようにしか見えない｣
おもちゃの取り合いか
樹もすごく専務を意識していたっけ
二人のうちの一人を選んで結婚しても幸せにならないような気がする
別に玉の輿じゃなくても良い貧乏でも
共働きをして私も一緒に働くから
ずっと側にいてくれて先輩や早坂さんのように本音が話せて時には口喧嘩ができるような関係になりたい
この二人といてもお人形さんみたいで自由がほとんどなかった
私がその事を二人に話すと｢気づくの遅すぎ！｣って言い返される
｢でもまだ結婚したわけじゃないし、この失敗を教訓に幸せを掴みに行けば良い！｣
前向きな美奈子先輩のお言葉にただウンウンって頷くしかできなかったけど、心の重りが消えて気持ちが軽くなったような気がする
てこの二年間いた専務と共にいた空間は居心地は良かったけど、もう二度と戻りたくはない
今度こそ前を向いて歩きたい
｢玉の輿を捨てるのは勿体ないよね｣
｢もし私が明日美の立場だったら、すぐにはどちらとも切らないで様子を見るわ。だって、どちらも嫌いになれないんでしょう？｣
私はコクンと頷いた
｢明日美が好きすぎて自分勝手の相手が変われば、私も望月をお嫁に出しても良いと思う｣
保護者のような発言をする先輩
専務が変わる？
無理
樹？
わからない
二人は遠い所にいるので正直雲を掴むような話
そんな話をされても恋愛偏差値が低い私にはそんなことが出来ない
｢打算的な女だったら専務も高宮も好きにならない。純真無垢な望月ちゃんだからだと思うよ｣
｢言われてみればそうね。何か良いアイデアはないかしら｣
｢別にお前がグチャグチャに掻き混ぜることはないんだよ。どうせいつか落ち着くところに収まるんだから。お前が一番それをわかっているだろう？｣
先輩と早坂さんのやり取りを見てビックリ！
先輩が早坂さんを尻に敷いていると思っていたけど、実際には違う？
二人のやり取りを観察
｢何見てるのよ｣
先輩が照れている
｢だって二人とも仲が良いから｣
｢当たり前でしょう？これから家族になるんだから！｣
私はまともな恋愛もしていないのに、家族を作ることはできる？
前途多難
そんな言葉が頭に浮かぶ