breath
今夜は亜美の大学のお友達の会社の人達との合コン
ちなみに男性は大手商社
男性4人、女性4人の計8人の飲み会で亜美は本気で狙っている
私の前に座っている山下さん
私より2歳上
優しい笑顔が印象的
「加藤電器に勤めているんだ」
「そうなんです」
「大学の時の友人が加藤電器で働いている。高宮って知ってる?」
高宮なんてどこにでもある苗字だし違う人かも
「山下さんってどこの大学なんですか?」
言葉が出ない私に隣に座っている亜美が変わりに聞いてくれる
「T大だけど」
T大って樹と同じ大学だ
「高宮樹さんの事ですか?」
「知ってるんだ?」
「以前隣の課にいたんです」
山下さんは樹の事で私達に親密感を感じたのかいろいろ教えてくれた
サークルが同じでよく一緒に遊びに行ったこと
本当は縁故で就職が決まっていたのに反抗して就活をしていたこと
内定も結構な数を貰ったけど親を説得することができず内定を辞退したこと
「高宮主任イケメンだし結構モテたでしょう?」
「1回生の時は全然」
意外な答え
よく話を聞いてみると、高校は私学の進学校に通っていた樹は勉強ばかりしていて大学に入った時は眼鏡をかけていて地味な存在だったらしい
そういえば中学の時の樹も大人しくて地味で印象が薄く記憶になかったな
亜美は私の方を向き軽くウィンク
本命を彼に決めた合図
山下さんはイケメン
T大学出身で高学歴高身長
フリーの亜美にとっては優良物件
私も恋愛したい
何のしがらみもない純粋に
自分をアピールしている亜美や他の人が可愛く見えた
「高宮主任って大学の時って彼女はいたんですかー?」
亜美は私のために聞いてくれている
浮気現場を見てしまった私には過去の話でも心がズキズキと心が痛む
「本命は見たことはないかな。特定の子はいなかったけどそれなりに遊んでいたよ」
その内容を知りたいような知りたくないような
絶対聞いたら泣いてしまいそう
< 555 / 657 >

この作品をシェア

pagetop