breath
「遅いしタクシーでも呼ぶ?」
「いいえ近くなので歩いて帰ります」
「樹はたぶん明日には帰るけど。会えないけど良い?」
即答できない
「こんな事を言いたくないけど樹もね貴方と結婚するために社長に認めてもらうために必死なの。だから理解して支えてあげて」
結婚するため
私もそう思っていた
でも今の私は100パーセント彼を信じる事はできない
「私が待っていたら少しでも話をする時間はありますか?」
「寝る時間を割いたらあるんじゃない。樹もそのつもりでやってると思うわ」
私は客間に行きシャワーを浴びお母様が用意してくれた新品の下着とパジャマを着る
下着お母様の趣味?派手なんですけど
ベッドでゴロンと横になると眠気が
私はスヤスヤ眠ってしまう

喉が渇いて目が覚める
たぶん寝ていた時間は数時間だと思う
樹はまだ戻ってきていないようだった
ベッドから出てドアを開け書斎の方を見ると話し声は聞こえない
樹は自分の部屋に戻った?
私が寝ていたから?
たぶんお疲れだから仕方ないか
冷蔵庫を開け水を取ると客間のバスルームから音が聞こえる
もしやここにいる?
ということはアノ話をしなければいけない
どう切り出す?
寝起きの回らない頭でグルグル考えるけど慌てすぎて冷静になれない
カチャってバスルームのドアが開きバスローブを纏った樹が入ってくる
顔が少しシャープになってる
少し痩せた?
私の側に来て隣に立つ
いつもと違い優しい笑顔は見せない
さっきまで怒鳴り合うような激論を交していたから仕方ないか
何も言わず私を抱きしめる
「話をする前に少しチャージさせて」
と耳元で囁きながら
< 581 / 657 >

この作品をシェア

pagetop