breath
「永遠子から聞いたの?」
「今日聞いた」
「そう。じゃあ話は早いわね。私とお父さんが初めて会った時、彼は永遠子の彼氏だった。私も彼氏がいたし。いわゆるグループ交際をしてたの。お父さんと永遠子は大学を卒業したら結婚するんじゃないのって周囲が思うくらいラブラブだったわ」
「でもお母様の高宮社長とのお見合い話が出てきて別れたんでしょう?」
「色々あったけど、結論はそうね」
「そしてお父さんとお母さんは付き合ったの?」
「親友が大好きだった人と、その人達が別れてすぐ付き合うなんて。私はそんなに根性腐ってないわ。それに別にその時はお父さんのことが好きではなかったし、他に彼氏もいたし」
「じゃあ、どうして結婚までたどり着くの?普通、ありえないでしょう?」
「大学を卒業して3年ぐらいたった頃かな。その日の私は送別会で終電間際の電車に乗っていて、たまたまお父さんも同じ電車に乗っていてそこで再会」
「その日の再会で短い時間でもあったし軽く名刺交換をして別れた。永遠子の事もあったから深く近況を聞くのも気が引けた。その頃の永遠子は結婚して海外に住んでいたから音信不通だった」
「それで、どうして結婚に至るのよ?」
「その後、色々ね」
「教えてくれないの?」
「その後は成り行きというか、ご縁があって結婚したの」
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