breath

勤務最後の日にずっとここ数日、無視をしていた樹からの電話に出た
これがもう最後だと思い感謝の気持ちだけを伝える
今まで私が持っていたまのを全部捨てる
捨てることがこんなに自分にとって残酷なものだという現実を知る
すごく寂しくて辛い夜
悲しくて泣いていた
そんな時の樹の電話
最後に『ありがとう』と言った
そして貴方を捨た

樹も時間がたてば私が全てを放り出して逃げ出した事を知るはず・・・
優しい彼のはずだ
私の事を心配するだろう
でも、こんな無責任な私の事なんかすぐに忘れて・・・新しい樹に相応しい人を見つけて、素敵な人生を歩んで欲しい
私は一からやり直す　
母が言うように縁があるのならきっと出会いがあるだろう

一人暮らしを始めて父が言っていたことが正解だということを実感
過去の一人暮らしは社宅なので家賃もお安く、敷金礼金なんて存在なんて全くなかった
今回は全部自分もちなので万単位の支払い
そして無職になった今、収入の見通しはない
全てを捨てたアラサー女が傷心を理由に海外に行っても目的がないから、ただの散財になったかもしれない
例え再就職をしても確実に収入が減る訳で家賃を含む生活費の重み
今は毎日ハローワークに通ったり京都の町を散策して神社仏閣巡りをしている
なんで、こんなに外国人が多いんだ？
私が小学生の時と、風景が確実に違っている
そんな事を思いながら、目の前のカップルの背中を眺めながら
樹とは旅行なんか一度も行ったことなかった
実際二人で過ごした時間なんて合わせても１年にも満たない短いもの
そんな短い時間で何をやっていたんだろう？