breath
「ありがとう」
「仕事は慣れた?」
「まだまだ。目の前の物をさばくだけで精一杯」
「休みの日にツレと飲みに行くんだけど、明日美ちゃんも来る?」
「ツレって男性?」
「そうだけど」
「ゴメン。やめておく」
「彼氏に悪いと思ってるの?」
「彼氏?そんな人いない」
「明日美ちゃん美人だからいると思った」
「彼氏と別れたの?」
「私が全部嫌になって、全てを捨てて逃げ出したの」
「辛いことがあったんだね」
「辛いと言えば、辛かったかな。でも冷静に考えてみると何でこんなことで、全てを捨てたのか。衝動的にだったから笑えるよね」
「一体、何があったの?」
これはここで話してもいい話なのだろうか?
悩むところ
でも、私のこの?バカな行動をここで笑い飛ばして、次に進むのもかもしれない
靖くんに話して、キレイさっぱり忘れる
そう思いながら、今までの事を彼に話した
ーーーーー
「笑えるでしょう?」
「笑えない。その男達、最低だな。逃げて正解だよ」
「そう思う?」
「その気になったら俺のダチでも紹介するよ」
「本当?でも、当分恋愛はコリゴリ。仕事を覚えるので精一杯だから」
「その気になったら言ってくれ!待ってるから」
心機一転、誰もいない新たな知らない地に来ていたら、私は孤独感に打ちのめされて潰されていたかもしれない
あの時の私は冷静ではなかった
元職場でお世話になった美奈子先輩と亜美だけには今の居場所に教えている
本社に戻った時はお世話になったし三年前の事もあったので今回は義理を通した
二人には口止めもしている
美奈子先輩からLINEが
【高宮が本社に復帰!明日美の事を聞いて来るからウザい】
相変わらずの先輩に笑いが止まらない
教えないように口止め 
【了解!正月休みに京都に遊びに行くから案内よろしく】
元旦は休みだけれど、実家に帰る予定のない私は2日から働く予定
美奈子先輩が来る日は事情を話して休ませてもらおう
そのためには1日でも早く一人前にならなければいけない
頑張ろと思った
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