breath

結婚？
こんな状況で、思いがけない樹からの言葉
私は突然の樹の言葉だ固まってしまう
時間が止まったように
だって、私は樹を捨てて突然逃げたんだよ？
樹は必死になって探した
そんな迷惑ばかりかける私に
ありえない
何かの夢？
それともドッキリ？
嫌がらせ？
沈黙を続ける私の手をギュッと強く握る樹
でも握り返すことはできない
自分の立場が分かっているから
何とか返事をしようかとすぐ隣にいる樹の顔を見る
いつもと変わらない優しい微笑みを私に投げかける
私は深呼吸をして呼吸を整える

なかなか答えない私に、樹がしびれを切らせたのか
「返事は？」
いつもは考える時間を設けてくれる樹なのに、今日はそうしてこないというか、彼らしくない
そこまで彼を追い込んでいるのは確実に私で
どう返答すれば良いのだろう
今までの私なら、確実に首を縦に振っていた
今の私は・・・？
目を閉じて考える
どうして樹は全てを捨てて逃げた私の理由を真っ先に聞かないのだろう？
普通はまず聞くはず
私は目を開き樹を見る
「今、答えないといけないですか？少し考えさせてくれませんか？」
「ダメだ。俺は難しい回答を求めているわけではない。イエスかノーの二拓しかない」