breath
それが決められないから、逃げてここにいる
逃げているのだから答えは『ノー』になるはずだけど、それができないのは後悔している私がいるから
全てを捨ててこの地にやって来たけど、就職活動とか上手くいっていないことが多々あり・壁にぶつかっている
それに樹が提示した選択肢は私の人生を左右するもので、そんな簡単に決めれるものではない
3年前のように勢いだけでは決めれない
また二人の中で沈黙の時間が流れる

沈黙を破ったのは樹
「返事がないってことはイエスってことにするよ。ノーだったら即答だろう?」
「樹それは」
樹は私の身体を引き寄せ、私を強く抱きしめた
抵抗する間もないくらい、素早く強引に

樹に久しぶりに抱きしめられ、私の全身の力は抜けてしまう
「私は樹にプロポーズをされる資格なんてもうないわ。だって、私は全てを捨てて逃げだしたのよ」
「理由は俺?」
「全てが嫌になった。ただそれだけ。樹だけのせいじゃない」
「じゃあ、結婚でいいんじゃない?俺の事が嫌になったわけではないのだから」
無邪気に言う
少しは樹の事もあるんですけど、さすがに今、天真爛漫に嬉しそうな笑顔をしている樹には、さすがにそれは言えない
「こんな私で良いの?」
樹は首を縦に振り、またギュッと私を強く抱きしめた
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