breath
「タワーマンションを買ったって?」
「言ったのは山下だろう?」
「そうだけど」
「モデルルームを見に行ったのは事実で購入しようか考えている。明日美も一緒に住むから勝手に決めて良いのか迷っていた」
「その話を聞いた時すごくショックで、樹は私がいなくても前に進んでいるって思ったから」
「そんなはずはないだろう?退職した話を聞いた時ショックで何も考えられなくなった。1日でも早く会いたくて俺も必死。やっと今明日美に会えたから俺も前に進めるよ」
「本当にごめんなさい」
涙がポロポロと落ちてきて号泣
樹はそんな私をギュッと抱きしめ胸の中で泣かしてくれる
私の気が済むまで見守る
私は母が言うように一人では何もできない
誰かがいないと生きれない
私は一人で生きていけると思っていたのに
結局、元の場所に戻ろうとしている
まだ返事もしていないのに
樹の言われるがままに、流されそうになっている
「樹」
「何?」
「私と結婚して下さい」
彼の目を真っ直ぐ見て
私のいるべき場所はここしかない
最初からわかっていたのに
なぜ私は簡単にここに収まることができなかったのだろう?
3年もの時間がかかってしまったのだろう?
生涯がありすぎたけどここが戻る場所
そう思った
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