breath
その日の樹は新幹線の最終には間に合わず結局ここに泊まる
計画的犯行?
とも思えるけど久しぶりのに再会で彼なりのそれなりの思いもあるい
私は『一人でも生きていく』という思いの鎧を下すところから始めなければいけない
樹に甘やかされたら、あっという間に無くなるだろう
私の意志は弱かった
ただの人騒がせな女
樹は『気にすることはない』って言うけど、人騒がせでしかないこの行動
こんなに早く戻るのは恥ずかしすぎる
だからもう少しここに居たい旨を頼むけど
自分の近くに置きたいから拒否された

樹は今、お風呂に入っている
狭いこの1LDKのマンション
突然の宿泊
布団は一つ
今更伯父さんの家に借りに行くのも気が引ける
この小さいシングルのお布団で二人で寝るしかない
12月のこの寒さ布団もない中一人で寝させることもできない
それより一緒に寝るってことは、ありってこと?
心の準備と体の準備ができていない
この地に来てからお手入れを怠っていた
当分縁のないものだと思っていたから
恋愛もこりごりだったし
またまた自己嫌悪のネガティブ思考
私はこの先、ずっとこの地に逃げた事を負い目に感じるのだろうか?
お風呂から出てきた樹は、バスタオルを巻いているだけの姿
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