breath
久しぶりに見る樹の身体に見とれている私
「何見てるの?」
「あああ」
確実に挙動不審
もしかしたら欲求不満?
「思い出した?俺の身体」
見とれていたのがバレてる
一瞬にして顔がぶあって赤くなるから、口に出さなくても言いたいことが伝わったかもしれない
夜中まで開いている量販店で樹の着替を購入したから脱衣場で服を着て出てくれれば良いのに
自分の身体を私に見せるためにワザとそんな恰好で出てきている
嫌な予感
樹は両腕を広げ
「おいで」
って言うけど私は素直に飛び込める?
そうしたい
でも考え込んで躊躇して
「お風呂に入ってきます」
って言って逃げた
今日の私はどうかしてる
このサプライズに確実に動揺
熱いお湯につかる、ドドドッって心臓の血液が逆流
この後の事を考えるといてもたってもいられない
こっちに来てから確実に干物女だし
お風呂の温度は通常よりも2度ほど高め
樹に合わしてだけど
いつもより熱いお湯に我慢りしながら入るけど、すぐ限界
諦めて出る
髪の毛を洗面所で乾かして狭いリビングに戻ると、布団がリビングの半分を占領して敷いてありました
樹は布団には入らず、テーブルの前でスマホをいじっている
私が部屋に入ってきたら手を止め、ジッと私の顔を見て立ち上がりキッチンに行ってしまった
冷蔵庫の開閉する音が聞こえ暫くしてトレーにマグカップを載せて戻ってくる
テーブルに置かれたカップの中には温かいホットミルク
「ありがとう」
口に含むと砂糖のほんのり甘い味
「少し話をしよう」
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