breath

「ここに来た事に負い目を持っているだろう？特に俺に対して」
私は首をコクンと縦に振る
「俺に対してそんな気持ちはいらない。きっとあの時はそうしないといけない状態だった？」
ウンウンと頷く
「後悔している？」
「ここに来たことは後悔はしていない。就職活動が上手くいかなく、あの時衝動で捨てたものがすごい価値があるものだという事に気づいたの。馬鹿でしょ？」
「馬鹿だとは思わない。その行動が必要だと判断したんだろう？完璧な人間なんていないよ。捨てたものでもその後必要だと思うのならまた可能ならば拾えば良い。拾えなかったら別の物で代用する方法を考える。生きていくってそんなものだろう？」
「私ね全部捨てて、一からやり直したかったの」
「結果論かもしれないけど、明日美がいなくなってどんなに好きか改めて思い知った。そして今、動かないと絶対後悔するって。だから見つけた時は嬉しかったしもう手放さないって誓ったよ」
「もう私を甘やかさないで！逃げた事を罵ってくれたほうが私は救われる」
「自分を追い詰めたい。もうそんなことはしなくて良い。俺と一緒になったらもうそんな生き方はさせないよ」
樹は何でそんな事を言うの？
私は樹･･･
今の私は泣くしかないできない
それぐらい私は追い詰められていた
樹は泣いている私に手を差し伸べることもなく、抱きしめることもなくただ見ているだけ
いつもの樹なら確実にしてくれた
今はなぜ？
甘い考えを持っているところが私のいけないところ
今回の計画が失敗した原因
結局、私は一人では何もできない