breath
お母さんの言ったとおり
私は一人では生きられない
「こんなダメダメな私で良いの?一人で何にもできないのに」
樹はジッと私を見ているだけ
二人の間に沈黙の時間が流れる
私はどうしていいかわからないからパニクってしまいそう
「俺も明日美に負い目がある。明日美も俺に負い目がある。俺の負い目の方が量が多いと思うけど、それはこれから幸せにするからそれは許してほしい。これからの楽しい事だけを考えよう」
樹の表情がいつもの優しい表情に戻る
安心する私
ずっとこんな優しい樹が私の傍らでいてくれるだけで幸せ
そんな思いを持ったのは確かだ
そして、樹の入れてくれた少し冷めたホットミルクを飲み私達は就寝に
樹は抱きしめる以外は何もしない
私が準備をしていなかったのがバレた?
それとも疲れているのか?
さすがに聞けない
私が退院した時にもそんなことがあったような
昔のように思える
この数ケ月というか今年は本当に色々あった
なんて思いながら狭いシングルの布団で二人で小さくなってギュッと抱きしめ合って眠る
布団に入るとともに暖房を切ったので樹の体温が本当に心地よく、反対に私も彼に対して同じ存在になっている
最低な事をした私に彼は『生き方を変えよう』って言ってくれた
現実、このネガティブ思考は何とかしなければいけない
また病気の引き金になってしまうから
考え方とか生活とか生き方とか変えたら私は幸せになれる?
一人だったら絶対無理
またネガティブな底なし沼に落ちていきそう
本当にこんな生き方をやめなければ
昔の私はこんな人じゃなかった
三年前のあの事件
あれがなければなんて思うけど、もうそんな事綺麗さっぱり忘れる
もう一度樹の言う通りあの時から始める
遠回りしすぎたけど、きっとこれからは上手くいくはず
樹のちょっと痩せた寝顔を見ながらそう思った
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