breath
樹がリビングに戻ってきたときには、お二人さんはお帰りになったようで
「もう頼んでいたことは終わったから合鍵は返してもらった。だからもう突撃はない」
「すぐは無理だろうけど、時間をかけて修復したらいいから」
今の私はまだ許すことはできないし実家に行く勇気もない
樹の頼んだピザが来て、お母さん達が差し入れしてくれたビールで乾杯!
久しぶりのピザはとても美味しい
今日は、さすがに疲れた
先に寝室に行きベッドに入る私は樹の事なんかお構いなしにスヤスヤと眠りに入ってしまう

次の日の朝
目が覚めると隣に樹
疲れているだろうし、私が動いて起こしても悪いのでじっくり樹の顔を観察
何も変わらないと思ったけど目じりにこんなシワがあったっけ?
初めて会った3年前よりも樹も私同様、時間が流れていてそれなりに顔にも年季が入ってきている
これから、ずっとこうして彼の年輪を傍で見ていくのか
今日は久しぶりにじっくり見たからわかったけど、毎日見ていたら気づかなくなるだろう
なんて思うとて自然に笑いがこみ上げて来る
久しぶりに、心から笑った?
ここが私のいるべき所で、これから守らなければいけない場所
がんばろう
そう思いながら、そっと樹の唇に軽くキスをする
最後に私から樹にキスをしたのはいつだっただろう?
もう思い出せない
じっと樹の顔を飽きもせず観察していると、パチッと目が開き視線が合う
新しい二人の生活の初日の朝
緊張ばかりしていてもダメだし、言い訳癖もそろそろヤメなきゃ
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