breath

３年後のクリスマスイブ
私達はまたこのホテルに来ている
『毎年記念日にここに来よう』
と樹の言った公約は結婚してから１回行っただけでそれ以降はできていない
あの日のクリスマスイブの１週間後の元旦に私達は樹の予告通り入籍
その後に結婚式の準備に入ったけど、式を挙げられたのはその年の９月
その後、すぐ妊娠
その年のクリスマスイブには無理して一応来たけれども、つわり真っ最中
ほとんどベッドで寝ていたことしか覚えていない
翌年は出産した後で、まだ母乳を飲んで長男の慎（しん）を置いて旅行に行くのも気が引けたので中止に
育児真っ最中の今日この頃で、慎が可愛くてしょうがない
私と樹の仲は、喧嘩もすることなく円満なん夫婦生活を送っている
子供が生まれてからな男と女ではなく、父と母の関係に
それは仕方がないことだけど、樹もそれなりに頑張ってくれている
夜泣きをする慎をあやしたり、ミルクを飲ましてくれたり
仕事が忙しいなりに、協力はしてくれている
お互い年齢も３０歳を超えてしまい、出会った頃と比べたら確実に見た目も年とっている
樹の目元にも笑いジワができているのを最近ね、寝顔を見て気づいた
３年前、転職を示唆していた樹はまだ加藤電器工業株式会社で働いている
この３年間、社長である義父はコストカッターとと言われるぐらい不採算部門を売却閉鎖し巨大化していた会社も今は本当にスリム状態になっている
かなりのリストラもしたようで私の元同僚たちも多数会社を去り、美奈子先輩もそのうちの一人
義父は経営責任を理由に社長を退任したいともう随分前から言っているけど次期社長候補の匠さんが首を縦に振らずなかなか思うように事が進まない