breath
と条件を出して見たけど聞き入れてもらえず、樹はさっさとバスルームにお湯を入れに行っている
何を考えている?
嫌な予感
私は久しぶりのこの部屋をグルグル散策
懐かしい
3年前に初めてここに来た時と比べると今は本当に幸せいっぱいで、過去の色々あった思い出は振り返ってみると、私達がこのポジションにいるために必要な出来事だったとポジティブに考えることができる
都合の良い解釈だけど

「せっかく慎がいないんだからたまには恋人に戻ったごっこをしても良いんじゃない?」
「恋人ね」
「恋人って今更でしょう?あの頃、何をやっていたかほとんど覚えていない」
たぶん、楽しかった思い出より苦しかった思い出の方がはるかに多かったから、今となってはそうしか言えない
「だから【恋人に戻ったごっこ】なんだよ」
一瞬、嫌な予感
それっていわゆる何かのプレイをするつもり?
最近樹の帰宅が遅くてご無沙汰だから
樹が帰って来てもあまり相手をしていない
反省することが多々ありすぎる
「そろそろお風呂のお湯も入ったようだし、入ろうか?」
「お先にどうぞ」
「何で?」
「だって恥ずかしい」
「今更、そんなこと」
樹はそんな私の気持ちにお構いなく強引にバスルームに連れて行く
一面大理石のバスルームで、浴槽も広く余裕で大人が二人入れるぐらいなのに
樹は脱衣所に私を入れると、なぜか部屋に戻って行く
もしかして、一緒に入るのを諦めた?
『やったー』
心の中で叫ぶ
バスルームのドアを開けると
「えっ」
浴槽見た私は、すっごく幸せな気分
だって、浴槽一面に薔薇の花びらが敷き詰められているから
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