breath
母となった今で、樹には女に見られたいだ
日々の生活では生活に追われてそんな事を一切思わないけど、生活とかけ離れたここでは時間も気持ちにも余裕があるからそんな事を考えてしまう
この非日常の状態は私が女だった事を呼びさましてくれている
私は体制を変え、樹と向い合う形をとる
樹はそんな私を見てクスッっと優しく微笑むだけ
いつもと変わらない樹の表情に
それだけ?
って不満を感じてしまう私
【恋人に戻ったごっこ】をするのなら・・・もっと、することがあるんじゃないですか?
樹の態度に対していら立ちを覚えている
私は何もしない樹の唇に私の唇を押付ける
ねだるような
求めるような
力強いキス
簡単に樹の唇をこじ開けることができ、私から舌を入れる
樹はそれを絡めることはなくただ私を受け入れるだけ
それだけで違和感
いつもと違う
これはワザと?
それともごっこ遊びだから
応えてくれない樹にまたまた苛立っている私は樹の唇から離れ彼の首筋、胸元に唇を這わす
少しは感じている?
樹は少し喘ぎ声を出している
第三者から見れば、私が樹を襲っているように見える
やり始めてすぐ心が折る
本当に私は情けない
動きが止まる
「樹、これからどうする?」
「これから?7時に食事が来るからそれまではフリーだよ」
そういう意味じゃなくて、キスより先の話なのに通じていいない
私の身体はこんなに火照ってウズウズしているのに
樹だって・身体は反応してるよ
なぜこんなに素なの?
草食系だったっけ?
いやいや違う
わざとかな?
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