大事にされたいのは君

「は?おまえついこの間まで彼氏いないって言ってたじゃん」

「あ、うん。そうなんだけど…そうなった」

「そうなったじゃねぇよ。だったらなんでおまえも驚いてんだよ」

「いやだって、出来たって言ってもさっきだし…」

「は?え、何?コイツさっき彼氏になったばっかでこんなイキってんの?変なのに捕まってんじゃねぇよ、あれ程言ってきただろうが」

「瀬良君は変な人じゃないよ。むしろ私が瀬良君じゃないとダメで、」

「コイツこの間の話のやつか!」

なるほど納得いったと、目を一回り大きく見開いて瀬良君と私を交互に見た兄は、はぁー…と、俯いて大きく長い溜息をついた。片手で頭をわしゃわしゃと荒く搔くと、「おい」と、瀬良君の方へ目をやる。

「おまえコイツの事振ったんじゃねぇの?」

「え?」と、今度は瀬良君が驚いて私の方を見る番だった。彼の尋ねるような視線に私がうんうんと頷くと、瀬良君はもう一度「え?」と、更に目を大きくして驚いた。

「振った?俺が?」

「うん」

「吉岡さんを?」

「うん」

「いつ?!」

「あ、えっと…いつっていうか、瀬良君の事好きだなって言ったら、俺も友達の中で一番好きだって…」

「え?!あれ告白だったの?!」

「…そう、だったみたいなんだけど…」

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