大事にされたいのは君
「…何話してんの?」
突然スッと現れた声の主。妙に平坦なこの声はと隣に目をやると、そこに居たのは三好君だった。思わずギョッとして声を失くしてしまった。だってこんなの初めてだ。私が一人の時では無く、朋花ちゃんとの会話の合間にこんなに堂々と立ち入って来るなんて。そもそもこうして彼と会話をする事自体が久々で、付き合い始めた事に対してどう思っているのかも知らない。
だからきっとまた何か苦言を頂く羽目になるのだろうと私はそっと身構えた…のだけれど、
「ガールズトークですー入って来ないで下さーい」
「随分深刻そうなガールズトークで。てっきり俺は遂にあんたが腹括ったのかと、」
「マジでやめてほんと黙って」
ギロリと睨みを効かせる朋花ちゃんの視線をあっさり受け流す三好君…何なんだ、なんだこれは。あまりにも予想外過ぎる出来事にポカンと口を開けて、二人の間を何度も視線が往き来してしまった。
一体どういう事だ。二人の出身中学が同じ事は瀬良君と朋花ちゃんが同じだと知った所から推測が
出来る。しかし朋花ちゃんは以前、三好君の事をあまり知っていないような事を言っていたような…というか、会話をしている所も同じクラスになってからあまり見た事が無いような気が…
「まぁ良いならいいけど。吉岡さんも大変だね」
「へ?」
さて口を挟むかと、二人の関係性を問おうとした所に話を振られ、またも驚きを重ねる結果となった。なんだ、何故次は私が労わられている?
「もうほんとにいいから!私が自分で言うから!あんたはあっち行って!」
「…なんで?別にその話をするつもりじゃないんだけど」
「するつもりじゃなくてどうして吉岡さんも大変だねになんのよ!どうなったって繋がるでしょうが!」
「あんたは少し自意識過剰じゃない?言っておくけど、あんたの事は全部あんたが一人で空回ってただけの話だ。吉岡さんも透もあんたとは何も関係ない」