大事にされたいのは君
「……それは本当にその通りだったけど、でも今その話をして欲しくない」
「いや、あんたがそうしてるんだし」
「は?してない!」
「してる」
「してない!」
「してる」
……で、結局何がどういう事なのか私は分かっていないのだけれど、一体どう捉えればいいのだろう。
目の前の二人はしてる、してないのやり取りを繰り返している。こんな二人を見るのは初めてだ。なんだか容赦無く言い合っているのだから、二人は仲が悪いのだろうかとも思ったけれど、よく考えたら三好君に関しては普段から容赦が無かった。という事は、やっぱり彼は私にだけでは無く、皆に平等にスパッと言い切る人なのだ。…では、朋花ちゃんは?朋花ちゃんはどうだろう。
瀬良君に対しては強い言葉を使う時がある。けれどそれはわざとというか、あえてそうしているという感じで、こんな風に裸のまま言葉を外に出すような使い方はしない。それは私と居る時もそう。雑に見せてるだけ、乱暴にさせているだけの言葉はたまに聞くけれど、素のままで現れた言葉はなかなか無い。つまり、朋花ちゃんの今のこの状態っていうのは、
「…朋花ちゃん、三好君と仲良くなったんだね」
そう、心を開いているという事。彼女が三好君に心を開いている。そして、三好君もそれが分かっている。
「やめて由梨ちゃん、仲良くないよこんな奴!」
それから朋花ちゃんは、こんな根暗で隠居な奴だとか、もっと声を張れよ上目線なのも気に入らないだとか、人の気も知らないでお節介なんだよだとか、それはもう酷い言いようで三好君の事を表した。そして最後に一言、「相談した私が馬鹿だった!」なんて…
「え、朋花ちゃん三好君に相談したの?」
「……」