大事にされたいのは君
君を必要とする
「俺と一緒だからってどういう事?」
「帰りづらいとしたらって事。うち家に人居ないから帰ってもやる事ねぇんだよなー、つい外に居がち」
「…え、私の事どこまで知ってるの?」
驚いた。私も家に人が居ないのだけれど、それってもしかして結構有りがちなのだろうか…当てずっぽうじゃなきゃ怖い。私はまだこの学校で家庭環境について誰とも話していない。
「いや、分かんないけど、何となく?好きでここ居る訳でも無さそうだったから俺と一緒かなーって」
「…本当に?」
「本当に。俺本っ当に吉岡さんの事見てんからさ」
「なんとなく分かっちゃうんだよなー」なんて。ヘラっと笑って言う彼の疑いが晴れる訳も無く、この感じどこかで…と、チラッと感じた既視感に、そうだ、初めて相談にのった日だ!と、何故私に相談するのかを尋ねた時の事を思い出した。
あの時もそうだった。いくら私の事を見ていたといったって、こんなにピタッと私の事を言い当てる事なんて出来るだろうか。いや、出来ない。出来る訳が無い。
「あのさ、吉岡さん」
「……」
「なんかすごい納得いってないのが伝わってくるんだけど、マジだからね?俺同じクラスになってすげー嬉しかったんだよ。吉岡さんは知らないだろうけど」
「…え?同じクラスになった時って…そんな前から私の事知ってたの?」
「知ってたよ。つーかめっちゃ見てたって」
「え…」
「ほらー!言ったら引くじゃん!だから言いたく無かったのに!」
不貞腐れた彼は、「俺の話はもういいじゃん」と、詰まらなそうな声で言い捨てた。どうやら機嫌を損ねてしまったらしい…これ以上は問い詰める事が出来なそうな様子だ。