大事にされたいのは君

「興味ないかと思ってた」

「え?」

「クラスに、というか同年代の人間に」

「いや、いやいやなんで…」

「浮世離れしてるっていうか、落ち着いてるっていうか。世界が違う感じ」

「だ、誰が?」

「今吉岡さんの話してたよね?」

「そ、うだと思ってたけど…」

三好君の会話のリズムは独特で、スパッスパッと切り口鋭く切り込んで来るペースにまごついていると、いつのまにかピタリと手を止めた彼に露わになるこちらの本心を覗き込まれている、そんな感じがした。そしてペースを一度逃すとそのまま取り残されて、ハッとした時には何を前提とした会話だったのかなんてすっかり忘れてしまいそうになる。それではいけないと、私は慌てて一番始めに戻る事にした。

「きょ、興味あるよ、名前だって覚えてる。三好君が瀬良君と仲良いのも知ってるし、私と話すのが初めてなのも分かってる」

「あ、そう」

「だから瀬良君の事が心配で私の事を探ってるのかなと思ったんだけど、違う?よく分からない私に警戒してるのかなと…」

「警戒」

「だ、だってそうでしょ?初めて話す内容が瀬良君の事好きなのかだし、ウザいと思ってるかとか、興味無いとか、私には良い印象が無さそうだし…」

つい、語尾がモゴモゴと口の中で小さくなっていった。要所要所でジッと無表情で見つめてくる三好君に、どこに引っかかったのか気になって、どこか間違ったのかと不安になってしまう。いつもはどちらかというとスパッと物を言えるタイプだったはずなのに、その調子が取り戻せない。あぁ、もどかしい。

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