大事にされたいのは君
そして、「吉岡さんごめんな、こいつらバカなんだよ。どっか別のとこ行く?」と、気遣う瀬良君が声を掛けてくれた。…なんだか瀬良君と久し振りに目が合ったような気がする。そうだった、ここには瀬良君もいるのだった。そしてこの人達は皆瀬良君の友達で、まだ何も話していないけれど三好君も今この場に居る。私の本心を見抜いた三好君に誘われて、私はそれに頷いたんだった。みんなと仲良くなりたいと言ったのは私だ。瀬良君の友達なんだから悪い人じゃないはずだ。流れに負けていてはいけない。ここに居る意味が無くなってしまう。
「普段は、家事をしてます」
何か答えねばと言葉を探しながら私は、先程投げ掛けられた質問の答えを口にしていた。その瞬間、この場を勢いよく流れていたものがピタリと止まり、一斉にそれが私の方へと向けられる。
「…家事?」
「そ、そう」
「家事って、料理とか洗濯とか?」
「私が担当なので…」
「え!じゃあ吉岡さんが飯作んの?上手いんだ!」
「う、上手いかは分からないけど、兄は食べてくれる…」
「吉岡さんお兄さん居んの?!」
「う、うん」
「何歳?何個上?」
「10個上。27歳」
「マジかー!普通に大人!」
「てか絶対イケメンだろ。イケメンに決まってんよな」
「ほんとそれ!見たい!吉岡さんなんか無いの?」
「え、そんなの無いよ」
「えー!じゃあ吉岡さんから見てどう?お兄さん誰に似てる?」
「誰にって言われてもなぁ…芸能人とかよく分かんなくて。でも兄妹でよく似てるねとは言われる」
「それ確定じゃん!吉岡さんと似てるとか確定じゃん!」