大事にされたいのは君
「な?」と、皆の賛同を促すと、うんうんと皆も納得の表情で頷いた。
「何話していーか分かんねぇ感じな。しかも10も上のイケメンアニキなんて居たら同学年の俺らなんてリアルにクソゴミクズにしか見えねぇわ」
「俺が吉岡さんならそう見える」「俺も」「俺も」なんて、やけに言いたい放題言うけれど…なんだ、もしかして、
「興味が無いんじゃなくて、嫌われてたって事か…」
私の頭の中で出した答えを口にした瞬間、再度空気が固まって…そしてまた、弾けるように大きな笑い声が上がった。
「違うだろー!吉岡さんマジなネガテイブだった!」
「むしろ逆じゃん?多分みんな興味あると思うし、吉岡さん有名人よ?」
「ゆ、有名人…?」
「目立つからねー吉岡さん。それで誰も話しかけられる勇者が居なかった所の瀬良登場な訳」
「二人が絡んでんの結構みんな気にしてんよ?瀬良も目立つしなー」
「しかも三好もってなったらもしかしてイケんじゃね?ってな。それが今」
「そ、そうなんだ…」
驚いた、なんかもうよく分かんないけど好意的なものがある事に驚いた。嫌われて無いと否定してくれる事に驚いた。それが今、という現在の話までしっかり繋がっていた事に驚いた。というか、
「イケるって何?」
速い流れの中にある一番の疑問点を素直に口にしてみると、またしても遠慮の無い笑い声に包まれた。なんだか先程からヤケに笑われている気がする…そんなに可笑しな事を言っているだろうか。これはもしかして、ただ馬鹿にされてる?
未だに笑い続ける周囲に少しムッとして口を閉じると、ごめんごめんと目の前の一人が口を開いた。
「みんな吉岡さんと仲良くなりたいって事だよ」
ニカッと明るい笑顔で告げられたその言葉に、「そうそう、そういう事」と、皆も笑いながら同意してくれた。