大事にされたいのは君
それから私達はたわいのない話をした。昨日見たバラエティー番組の話だとか、次の授業の宿題の話だとか、互いの身近な人物の話だとか…会話の流れはやっぱり速かったけれど、話を振ってくれるのでそれに答えたり、聞きながら一人で相槌をうったりしていたら何故か感動された。「吉岡さんが俺の話聞いて笑ってる!」なんて言われて、今まで私は笑いもせず他人を受け付けず一人の世界に入っている可笑しな人間認定をされていたのだなと、知りたくなかった事実を知る事となった。
確かに、逆にそんな奴が居たら気づかない振りなんて出来ないはず。興味なくても目に入って気になってしまったのだろう。皆は仲良くなりたいなんて優しい言い方をしてくれたけれどそういう事なんだなと理解して、居た堪れない気持ちになっているうちに朋花ちゃんが帰って来た。もうすぐ昼休みも終わる。
また話そうねと皆に挨拶をして、私達は次の授業の準備に取り掛かった。「どうだった?」と尋ねる朋花ちゃんに私は、「楽しかったよ」と素直に答える事が出来てホッとした。そう、私は楽しかった。そしてその分だけとても嬉しかったのである。
「帰って来てびっくりしちゃった。あの中に一人だった訳でしょ?相当気まずくない?」
「気まずいという感情すら思いつかない程緊張してた…話にはついていけないし。でもみんな優しかったし面白かった」
口に出して先程までを思い返してみると、自然と私の顔に微笑みが浮かんだ。そんな私を見て驚いたような朋花ちゃんだったけれど、「まぁいくらあいつらでも、由梨ちゃんに雑な扱いは出来ないか」なんて答えた。
「雑な扱い?」
「例えば、ボケてみろーとか、空気読めよーとか。あと軽く話流したりとか?瀬良が見張ってんだから出来ないでしょ」
「…そ、そっか。瀬良君が居たから優しかったのか」