大事にされたいのは君

あんまり瀬良君が会話に入って来なかったからすっかり忘れていた。そういえば、途中で私の様子を見て声を掛けてくれたのは瀬良君だ。あれがみんなへの合図だったのだろうか。私にしっかり対応しろよという指令でも出ていたのだろうか。

「まるで接待…みんな私に沢山気を遣ってくれたんだね…」

「あ、いやそうじゃなくてね!あの人達は全てが雑だからそのまま来られたらビックリしちゃうからって話で…由梨ちゃん違うよ!接待とかじゃなくて、由梨ちゃんに合わせた対応をしたんだろうってだけだから!」

「だからそんなに落ち込まないでー」と、どんより落ち込む私を焦って慰める朋花ちゃんは、「そうだ、三好は?誘ったのあいつだったんでしょ?」と、新しい話題を提示した。きっと流れを変えようとしてくれたのだろう。私も立ち直らなければ…と、問われた三好君について思い出そうとしてみた。

「…あれ?そういえば三好君とは特に喋ってない…」

「マジ?あいつから誘っといて?」

「うん…でもみんなと仲良くなりたいって言ったのは私だから、だからかもしれない」

「機会を作ったからあとは自分でやれと?」

「うん…」

三好君は結構鋭く様子を見ているタイプだと思うから、多分私がどう出るのか見ていたのではないかと思う。それでなんとかなっているなと思ったからこそ入って来なかったのではないかと。そこまでやってやる義理は無い…というか、あの中に入るのが単純に面倒だったのでは無いか…なんて朋花ちゃんに伝えてみると、「普段からそんな喋んないし、その面倒票に一票」なんて彼女は同意した。

「でも良かったね、三好が放っとくくらい上手くいってたなら」

「あー、うん。どれだけ気遣われてたか分からないけど、私は楽しかった」

「というか、由梨ちゃんみんなと仲良くなりたかったんだ?」
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