Vanilla
すると突然朝永さんは目を細め、鋭くさせながらキッチンにアイスのカップを置いた。


「グミ、気持ち悪い。あとは勝手に食べろ」

その言葉に勝手に私の口元が緩んでいることに気付くと、朝永さんはキッチンから出て行った。

キッチンには半分以上残されているバニラアイスのカップ。


「お前、さっさと風呂入れ。あと、またぶっ倒られたら面倒だからベッドで寝ろ」

カップを眺めていたら、ソファーから飛んできた不機嫌そうな声。

声は不機嫌だけれど、内容は私を気遣ってない?
そう思うと笑いが込み上げてきて。

私はクスクス笑いながら残ったアイスを食べた。


それから私は掃除をし始めると、朝永さんが寝室へ行った。
掃除を終えた後はお風呂にゆっくり浸かる。
髪を乾かして出てくると、リビングの時計は二十一時半。
まだ眠くはない。
テレビを勝手に付けたら怒られるかもしれないからと、私はソファーに体操座りで携帯を眺めていた。
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