Vanilla
二十二時半、ちょっと眠くなってきた。

朝永さんはあれから寝室に籠ったまま出てこない。
もう寝たかな?
ソファーで寝たら、怒るかな?

昨日一緒に眠ったとはいえど、今まで男性経験ゼロの私には男の人と同じベッドで眠るのはかなり勇気が要る。


『ガチャリ』


突然の物音に驚いて顔を上げると朝永さんがリビングに入ってきた。
冷蔵庫に入っていたお茶をコップに注いでいる。
どうやら喉が乾いたらしい。
ゴクゴクッと飲み干すと朝永さんは私の方へ向かってきた。


「眠いならベッド行けよ」

目がとろんとしているのだろうか。
私の顔を見ながら面倒臭そうな顔でボソリ。

「い、行きます」

反抗は出来ない。
まだ勇気は出ない私は視線を彷徨わせながら小声で返す。
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