Vanilla
次の日の朝。


「はぁ……」

会社のロッカールームで制服に着替えながら重過ぎる溜め息が出た私。

今から始まる仕事のことでも、朝永さんのことではない。
というか、朝永さんの事は思い出すだけで腹が立つから考えたくもない。
朝も私は朝永さんを視界には極力入れないようにしていたくらい腹が立っているが、今私を悩ませているのはお金のことだ。

最低男だが、今は朝永さんのお陰で家賃は無い。
それだけは物凄く有り難い。

でもずっと住まわせてもらえるわけは無い。
いつかは出て行かなくてはならない。
だからそのためにお金を貯めておかなくてはいけない。
まず家具と家電が一つも無いし、しー君はこれからもっとお金が掛かるかもしれない。

朝永さんの指示に従えば、あとは勝手にやっても良いよね?
というか、勝手にやろう。
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